「被害者の恐怖や痛みを味わい死んでほしい」涙声で極刑を求める証人(産経新聞)
【法廷ライブ 秋葉原殺傷 第4回公判】(4)
《検察官に問われ、悲惨な事件への思いを口にし始めた被害者のCさん。しばらくすると、声を詰まらせ始めた。途切れ途切れになるCさんの声。とうとうCさんの声が止まり、一時的に法廷内には沈黙が続く。弁護人席前の長いすに座った加藤智大被告(27)は、背中を丸め、証人と目を合わせないように下を向いている》
検察官「今、目頭を押さえているのですか」
証人「大丈夫です」
《傍聴席からは、遮蔽(しゃへい)用のカーテンで囲われてみえないが、Cさんは涙声で鼻水をすすったようだ。この事件で、Aさんと川口隆裕さん=当時(19)=の友人2人を失った当時の状況を思いだし、感情が抑えきれなくなったようだ》
証人「こういうことはもう起こらないでほしいと思います」
《思いを絞り出すように話すCさんの姿を見て、村山浩昭裁判長も口を真一文字に結び、厳しい表情を見せる。加藤被告は、おもむろに黒いペンを手に取ると、机に置かれた紙にメモをとり、指で鼻をかいた》
検察官「今回、証人の話を聞いたとき、『Aさんと川口さんに会いたい』といっていましたね?」
証人「はい。A君とは同じ大学で帰り道も同じだったので、プライベートや飼っているペットの話もしてもらいました。夏休みの旅行の計画も立てていたので、旅行にも行きたいです」
検察官「川口さんと会えたら何がしたいですか」
証人「対戦ゲームをやり合えたら、決着をつけたいです」
《Cさんの声は消え入りそうになっている》
検察官「被告から手紙が来ましたね?」
証人「はい」
検察官「読みましたか」
証人「はい」
検察官「どう思いましたか」
証人「反省の意をくみ取ろうと思って読んだわけでもなく、なんでこんな事件が起きたか少しでもわかるかと思って読んだのですが、わかりませんでした」
検察官「被告人に対してどんな気持ちですか」
証人「死刑は絶対だと思います。誰でもよかったというのは許せないし、死刑だとしてもA君や川口君が味わった恐怖や痛みを味わって死んでいってほしいと思います」
《Cさんの偽らざる憤りの気持ちを引き出したところで、検察側は質問を終えた。加藤被告はここでも、ペンを手にとってメモを始めた。続いて弁護側の質問に移り、女性弁護人が立ち上がって、その場で質問を始めた》
弁護人「交差点の真ん中あたりでトラックに気づいたといっていましたが、どんな風に走っていましたか」
証人「蛇行していたような記憶があります。自分がみたときは、自分たちからみてこういうコースを…」
《言葉で説明するのが難しいようで、Cさんは、蛇行して走っていたとするトラックについて、身ぶり手ぶりを使って説明しているようだ》
裁判長「右にふくらむような感じということですか」
証人「蛇行していたみたいな…」
裁判長「トラックも外側にふくらむような様子があったということですか」
証人「はい」
弁護人「トラックが走ってきたときにエンジン音がしたということでしたが、どんな音でしたか」
証人「ゴーっというかドーっというか…」
弁護人「交差点の中にいた人が声を発したことはありましたか」
証人「記憶にありません」
弁護人「あなたが前に飛ぶような感じで逃げたということでしたが、トラックがあなたのどの部分に当たりましたか」
証人「右の腰の部分です」
弁護人「トラックは、あなたとBさんとどちらが先にぶつかりましたか」
証人「B君です」
弁護人「『ナイフを持っている人がいる』という声が聞こえたといっていましたが、ナイフを持った人を見ましたか」
証人「見ていません」
弁護人「先ほど、被告の手紙を読んだとのことでしたが、あなた自身で想像して、どうしてこんな事件を起こしてしまったと思いますか」
証人「特にないです」
《Cさんは少し考えた上で、素っ気ない返答を返した。続いて、男性弁護人が立ち上がった》
弁護人「あなたの後ろをトラックがすぎたときに、友達がはねられた音は聞きましたか」
証人「聞いた記憶がありません」
弁護人「そのあと、トラックはどう動いていましたか」
証人「覚えていません」
弁護人「(被告人に)やっぱり反省してほしい思いはありますか」
証人「まあ、どちらかといえばそうかもしれませんが、反省したからそれで何になるっていうと…」
弁護人「なぜ事件を犯したのかを知りたい気持ちは変わっていませんか」
証人「まあ、経緯というかなぜ事件を起こしてしまったのかということをですね」
《弁護側は、簡潔に反対尋問を終えた。村山裁判長が「他にございますか」と尋ねる。検察官、弁護人とも、頭を左右に振った》
裁判長「それでは、終わりました。証人、お疲れ様でした。証人に退廷してもらいますので、壁を…」
《退廷の順路を見えなくするため、白い蛇腹の仕切りが引き延ばされた。準備の間、村山裁判長は、Cさんが法廷で書き込みを行った図面や写真を、調書に添付することについて、検察官と弁護人に確認を求めた》
裁判長「では証人、お疲れさまでした」
《Cさんが退廷し、仕切りが取り外された。加藤被告は右手にペンを握りしめたままうつむき、身じろぎもしない》
裁判長「このあとも証拠調べを予定していますが、休廷を入れたいと思います。午後3時に再開して、次の方の調書を調べて、尋問を行います」
《裁判長が休廷を告げると、傍聴人も一斉に立ち上がった。加藤被告も立ち上がり、腰縄と手錠をはめられる。うつむき加減のまま、傍聴席に一礼。そのまま退廷していった》
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検察官「今、目頭を押さえているのですか」
証人「大丈夫です」
《傍聴席からは、遮蔽(しゃへい)用のカーテンで囲われてみえないが、Cさんは涙声で鼻水をすすったようだ。この事件で、Aさんと川口隆裕さん=当時(19)=の友人2人を失った当時の状況を思いだし、感情が抑えきれなくなったようだ》
証人「こういうことはもう起こらないでほしいと思います」
《思いを絞り出すように話すCさんの姿を見て、村山浩昭裁判長も口を真一文字に結び、厳しい表情を見せる。加藤被告は、おもむろに黒いペンを手に取ると、机に置かれた紙にメモをとり、指で鼻をかいた》
検察官「今回、証人の話を聞いたとき、『Aさんと川口さんに会いたい』といっていましたね?」
証人「はい。A君とは同じ大学で帰り道も同じだったので、プライベートや飼っているペットの話もしてもらいました。夏休みの旅行の計画も立てていたので、旅行にも行きたいです」
検察官「川口さんと会えたら何がしたいですか」
証人「対戦ゲームをやり合えたら、決着をつけたいです」
《Cさんの声は消え入りそうになっている》
検察官「被告から手紙が来ましたね?」
証人「はい」
検察官「読みましたか」
証人「はい」
検察官「どう思いましたか」
証人「反省の意をくみ取ろうと思って読んだわけでもなく、なんでこんな事件が起きたか少しでもわかるかと思って読んだのですが、わかりませんでした」
検察官「被告人に対してどんな気持ちですか」
証人「死刑は絶対だと思います。誰でもよかったというのは許せないし、死刑だとしてもA君や川口君が味わった恐怖や痛みを味わって死んでいってほしいと思います」
《Cさんの偽らざる憤りの気持ちを引き出したところで、検察側は質問を終えた。加藤被告はここでも、ペンを手にとってメモを始めた。続いて弁護側の質問に移り、女性弁護人が立ち上がって、その場で質問を始めた》
弁護人「交差点の真ん中あたりでトラックに気づいたといっていましたが、どんな風に走っていましたか」
証人「蛇行していたような記憶があります。自分がみたときは、自分たちからみてこういうコースを…」
《言葉で説明するのが難しいようで、Cさんは、蛇行して走っていたとするトラックについて、身ぶり手ぶりを使って説明しているようだ》
裁判長「右にふくらむような感じということですか」
証人「蛇行していたみたいな…」
裁判長「トラックも外側にふくらむような様子があったということですか」
証人「はい」
弁護人「トラックが走ってきたときにエンジン音がしたということでしたが、どんな音でしたか」
証人「ゴーっというかドーっというか…」
弁護人「交差点の中にいた人が声を発したことはありましたか」
証人「記憶にありません」
弁護人「あなたが前に飛ぶような感じで逃げたということでしたが、トラックがあなたのどの部分に当たりましたか」
証人「右の腰の部分です」
弁護人「トラックは、あなたとBさんとどちらが先にぶつかりましたか」
証人「B君です」
弁護人「『ナイフを持っている人がいる』という声が聞こえたといっていましたが、ナイフを持った人を見ましたか」
証人「見ていません」
弁護人「先ほど、被告の手紙を読んだとのことでしたが、あなた自身で想像して、どうしてこんな事件を起こしてしまったと思いますか」
証人「特にないです」
《Cさんは少し考えた上で、素っ気ない返答を返した。続いて、男性弁護人が立ち上がった》
弁護人「あなたの後ろをトラックがすぎたときに、友達がはねられた音は聞きましたか」
証人「聞いた記憶がありません」
弁護人「そのあと、トラックはどう動いていましたか」
証人「覚えていません」
弁護人「(被告人に)やっぱり反省してほしい思いはありますか」
証人「まあ、どちらかといえばそうかもしれませんが、反省したからそれで何になるっていうと…」
弁護人「なぜ事件を犯したのかを知りたい気持ちは変わっていませんか」
証人「まあ、経緯というかなぜ事件を起こしてしまったのかということをですね」
《弁護側は、簡潔に反対尋問を終えた。村山裁判長が「他にございますか」と尋ねる。検察官、弁護人とも、頭を左右に振った》
裁判長「それでは、終わりました。証人、お疲れ様でした。証人に退廷してもらいますので、壁を…」
《退廷の順路を見えなくするため、白い蛇腹の仕切りが引き延ばされた。準備の間、村山裁判長は、Cさんが法廷で書き込みを行った図面や写真を、調書に添付することについて、検察官と弁護人に確認を求めた》
裁判長「では証人、お疲れさまでした」
《Cさんが退廷し、仕切りが取り外された。加藤被告は右手にペンを握りしめたままうつむき、身じろぎもしない》
裁判長「このあとも証拠調べを予定していますが、休廷を入れたいと思います。午後3時に再開して、次の方の調書を調べて、尋問を行います」
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